ことば

おんころ対話研究会に参加する

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9月30日、おんころ対話研究会に参加した。
https://ameblo.jp/oncolocafe/entry-12309033155.html

「おんころ」の名はoncologyに由来する。
オンコロジーは腫瘍学を意味し、癌や癌細胞の発生のメカニズムや
治療方法について専門的に学ぶ学問のこと。

今思い出したのだけれど、去年、立教大学でひらかれた哲学プラクティス連絡会に参加した時
大阪でおんころカフェを開催されている佐野さんのプレゼンテーションを拝聴したのだった。
その時の座長が菊池さん。菊池さんの丁寧な話ぶりにひかれ、
そのあと菊池さんが座っておられるブースへもうかがったのだった。

あの頃は、自分がおんころカフェに参加するようになるとは
ゆめゆめ思ってなかったなぁ…。

 

オンコロジーが学問を謳う通り、カフェ開催の前にミニレクチャーが開かれ
大野智さんが「エビデンスとはなんだろう?〜意思決定における役割について」、
孫大輔さんが「ムーミンの国から学ぶこと〜『自分らしさ』を追求できる社会とは」
と題して、お話くださった。

私にとってエビデンスの話はとてもタイムリーだった。
ちょうど抗がん剤治療の継続について、
自分で決めなければならないことがあったばかりだから。

私としては、どちらのレクチャーも身に入るものだった。

 

おんころカフェの方は、
なんとなくがんや難病の方、その家族が参加されるものと思っていたのだけれど
いや、そうでもないようだという雰囲気にはじめは戸惑った。

確かに、東京大学医学部図書館のセミナー室で、
会議机を囲んでのカフェ開催は厳しい環境だった。
ほとんどの人が声を発さずに時間がすぎた。
最後の20分、菊地さんがひとりひとりに発言を促したところで
発言できなかったことについて声を上げた人が数名いた。

 

おんころカフェ、東京での開催は2回目。
試行錯誤を経て、場がうまれゆく段階。

 

気の合う人とするりするり話すのは楽しい。
けれども、そこだけだと私の世界は狭い。

前回のブログにも書いた「快不快」の話にもつながると思うが、
自分と意見の異なる人とどう話をしていけるかが対話の場だと最近は考えている。
なかなか厳しい場となる。まるで伝わらなくて悲しいこともある。
簡単ではない。

話をしてゆくためには、相手の話をよく聴き
自分の考えをどう相手に伝えられるかを丁寧に考えることが必要だ。
とても時間がかかる。
星の生まれる過程が脳裏に浮かぶ。
混沌とした気体ガスが漂っている状態が対話の始まり。

 

医療者、哲学者、患者、その家族が集うという、他にはない場になる。
私としては、この先どうなってゆくのかが楽しみだ。
私も場をうむ一員を意識して関わっていけたらと思っている。

 

大野智さん(大変だよね、有名人と同じ名前)
朝日新聞の健康ガイド、アピタルで
「これって効きますか?」を執筆されている。
http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku/
病気にかかると、治療方法で
選択を迫られる瞬間がたびたびある。
大野さんの記事は参考になると思う。

 

 

菊地さんのブログ
http://kikunanchara.blogspot.jp/

わたし(たち)の大事なことだから、できることなら自分で考えたい。でも、聞くひともいる。他のひとのアイデアやことばが何かのきっかけになるかもしれない。いつもいっしょの人間関係から一歩外に出て、少し広い視野で、見知らぬひとの意外な意見も参考にすることで、はっと気づくこと、明確にわかることもあるだろう。そして、意外に思うかもしれないが、こういう「他人と話し、明確に考えること(哲学すること)をあなたの日常に取り入れること」は、きっと「自由に生きる」経験につながっていく。

去年、なんとなく迷いがあった頃だったので、菊地さんとお話できて
ずいぶんと励みになったのだった。

 

11月から、あたらしく小さな場を設けることにした。
詩をよんで感じたことを話す会。
案内を書かねば。