抗がん剤治療

抗がん剤治療のこと

Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加

治療中も書いたけれど
もう一度あらためて書きたいと思う。
抗がん剤治療のこと。

抗がん剤治療のこと抗がん剤治療は、化学療法とも言ったりする。 化学療法は、他の治療法(外科手術、放射線療法)と対比する場合に使われる。 前も書いたけれ...

 

 

がんになっていなくとも
抗がん剤はおそろしい、
がんになったら、抗がん剤は拒否する
という人がいる。

抗がん剤のイメージはとてつもなく悪い。

 

私も、がんになる前は
西洋医学をどこか否定していた。
病院にかかることも苦手だったし
実際、健康保険の支払いを拒否していた期間もある。

そんな私が、がん治療では
病院にすっかりお世話になった。

高額療養費制度のおかげで、金銭面でも助けられた。

医療保険制度には感謝してもしきれない。

 

 

医療の進歩は目覚ましい。

昔のようにがん=不治の病
という時代ではなくなった。

治療困難ながんがあることも確かだが
ひとくちに「がん」と言っても
その先はまったく様相が異なる。

できる部位によっても、同じ部位でも、まったく違ってくる。

 

そもそも、「がん」と「癌」に違いがあることを知っている人は
どれほどいるのだろうか。

それすら知らない人に
がん治療のことを語って欲しくないと今は思う。
そして、そんな人の言うことは鵜呑みにしないほうがいい。

亡くなった人の話ばかりがメディアでは取り上げられるので
正確な現状はあまり知られていないのだと思う。
抗がん剤によって救われた人はたくさんいるし
決して稀な話ではない。

 

 

抗がん剤はがん細胞だけではなく
正常な細胞も破壊してしまうので
からだには相当堪える。

抗がん剤で体力を失う人も確かにいる。

抗がん剤を使うか否か
その見極めは大事なことだと思う。

 

けれども、できることはなんでもやりたい
なにがなんでも生きたい
と言う人には、私は抗がん剤治療をおすすめしたい。

 

確かに抗がん剤治療はつらかった。
辛いから避けたくなる気持ちもわかる。
できれば、抗がん剤は使いたくない。
(そもそもがんになどなりたくないわな)

 

でも、私の意識よりもからだはすごくて
抗がん剤投薬から一週間は寝たきりになるが
そこからは徐々に元気が戻ってくる。

抜けた髪の毛も生えてくる。
ボロボロになった爪もあたらしい皮膚が下からうまれてくる。

 

あわせておこなった食事療法もつらかったけれど
「抗がん剤でがんを叩くことよりも、新しい細胞を生み出すことを考えて」
という指導医からのひとことは支えとなった。

 

ちゃんと細胞になるものを食べて、
新しい細胞がうまれるようにからだにお願いするしかない。
私にできることは、余計なことを不安がらずに
ただ生きるために食べることだけだと思った。

 

細胞をつくるために必要な栄養素を摂ること。

それによって、抗がん剤の副作用も違ってくる。
(毎回、副作用の体感が違っておもしろかった)

その体感を得られたことが、経験としてとても大きく
いま、食事の大きさを伝える源泉となっている。

 

抗がん剤を効かせるためには
からだにしっかりはたらいてもらうための
食事を摂ることが肝要。
(そのはたらきをこそ、栄養というのだよ)

なにをするにしても、土台は「食事」。

ここは声を大にして言いたいところだ。

からだに栄養素が満ちてくれば薬も効いてくる。
副作用だって、軽減できる。
これはどんな治療にも言えることだと思う。

細胞が、からだが正常になってくれば
こころも安定してくる。
睡眠や排泄のリズムも変わってくる。

 

 

この先生とは話せるという
信頼関係を築ける医師と出会うこと。
話ができる医師の元、
抗がん剤や手術を無闇に怖がらずに
ぜひ、治療を受けて欲しいと思っている。

標準治療とは、簡単に言うと
それなりの効果がみられる治療という意味だ。

標準という言葉ゆえに誤解があるのだけれど
多くの人が、この治療によってがんを抑え、
日常生活を送り続けることができている。

 

手術や抗がん剤治療を拒否して自然療法を選択していた人に
がん転移が見つかり、末期であることを知った。
その方はブログに「死は怖くない」と書いていた。

このことばが、遺されるものにとって
こんなに悲しく聞こえるとは、
私は想像すらしていなかった。

 

もちろん、それはその人の生き方だと思う。

けれども、
抗がん剤に対する知識が更新されていたら、
細胞をつくる栄養素はなんなのか
という生化学的なことを知っていたら、
どうだったのだろうか。

知識が広く啓蒙される、
それが教育なのだなとあらためて思う。
(知識とは、それが絶対というわけではないけれども
「いまのところそれが一番よい結果が出ている、いまのところはね
という指標だと思う)

 

病気だとわかってからできることはたくさんあるし
病気になる前からできることだって
たくさんある。

 

抗がん剤治療を終えても、がんは一度なって終えば
治ったということは言えない。
ひとまず5年は、ふたたびがん化した細胞が増えないように
経過観察の必要がある。

 

私も、再発はないと思いながらも
実際はどうなるかわからない。

 

ただ、意識とからだと精神、
そんな名なぞおかまいなしに、
うごめくものたちと
押したり引いたり
私の意識が為せることと
私の意識ではどうにもならないことを
ともにみていきたい。
そう思っている。

 

 

横浜美術館、常設展示に奈良さんの絵。
その瞳に吸い込まれる。