抗がん剤治療

第三回目の治療と食事療法

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6月6日から入院、三回目の抗がん剤治療を受けた。
前回は帰宅してすぐに布団へ直行、何も食べたくない、食べられない状態が2、3日続いた。
気持ちわるくて、呼吸も苦しい。
布団の中で喘ぎながらずっと頭に浮かぶことは「三回目はない、ノーモア抗がん剤」だった。

けれども、三回目を終えて帰宅した今
起きていられるし、食欲はないが食べられている。
劇的な変化である。

これは、食事療法を3ヶ月続けてからだが変わったということもあるんだろうと思っている。
からだによいことかずかずあれど、基本は食べものだということを実感している。
(それまでの私は食べなさすぎだった。)

生化学の本を読んだところでそう簡単に理解できるものでもないし、よくわからないことだらけだが
タンパク質を構成するアミノ酸、そのアミノ酸の作用は大きいようだ。
もちろん、ビタミン、ミネラルもだけれど。
これら食べ物を構成するものたちが、ゆくゆくは人のからだを構成してゆくのだもの。
量としてはほんのわずかだけれど、からだはそんなささやかなものたちの集まりだ。

アミノ酸に関することを調べていて、
おもしろかったのは新宿のとあるクリニックの先生による記述。

統合失調症と診断されてしまう人々は、食材に含まれるトリプトファンから体内でナイアシンを合成する能力が極端に低く、その結果として重度のナイアシン不足状態になり、幻聴や幻覚・妄想などの症状がでてくるようになってしまう。つまりペラグラの精神症状である。
このことを考えると、統合失調症などという偏見や誤解を招く病名は使用しないで、ペラグラ(ナイアシン欠乏症)とするべきである。人は進化の過程で、自らの体内でナイアシンを合成する能力が低くなってしまい、食材に含まれるナイアシンに身体で必要なナイアシンを依存するようになってしまった。そしてさらに、食材に含まれるナイアシン量が少なくなり、さらに食材を生成する技術が進歩したことによって近代になり食材から摂取されるナイアシン量が極端に減ってしまった。

http://orthomolecule.jugem.jp/?search=%A5%C8%A5%EA%A5%D7%A5%C8%A5%D5%A5%A1%A5%F3

がん、うつ病の治療をされているクリニック。
糖質制限も10年以上前から提唱。

ここで栄養素の基本についてお話しします。体内にある栄養素は、自分の体で合成することができないため、食材から摂取しないとならない種類のものがあります。それらを種類によって必須アミノ酸、必須脂肪酸などと呼ぶことがあります。またミネラルやビタミンの多くもそうですね。一方、様々な栄養素を材料として体内で合成できるものも多く存在します。アミノ酸で言えば、必須アミノ酸以外は食材からの供給と自分の体内で合成したものが混在しています。

そこでどうしても栄養素の重要度とすると、食材から摂取しなくてはならない必須の栄養素が体にとって大切なものと思われがちです。ところが体内での作用の重要度からみると、決して必須栄養素の方が、合成できる栄養素よりも重要でないことも多いのです。どちらかと言えば、人の体にとってなくてはならない栄養素は、多くの材料から自分で合成することができることが多いのです。

ナイアシンはその良い例でしょう。体内では、非常に多くの酵素反応の補酵素として働くナイアシンは、従来のごく微量で十分であるというビタミンという概念からかけ離れた多くの量が必要であることがわかってきました。だからこそ体内で合成することができるように、私たち人間の遺伝子は進化したものと理解できます。このように重要な働きをするナイアシンですが、どのように体内で合成されるのか簡単に紹介したいと思います。

私たちは、体に負担なく日常生活をおくるために毎日約60gのタンパク質を食事から摂取しなくてはなりません。この量は、通常の食事からではなかなか摂れるものではありません。普通の食事をしている人では40g程度でしょう。ちなみに肉を60g食べれば良いと言うものではありませんのでご注意ください。

さてなかなか進みませんが・・・・通常の食事に含まれるタンパク質の約1%がナイアシンの材料となるトリプトファンです。これも動物性タンパク質が悪いという”とんでも情報”を信じ、肉や卵を避けている方々は、もっと少なくなります。さてその60gのタンパク質の1%ですので、1日に約600mgのトリプトファンを摂取していることになります。(ちゃんと肉を食べている方々ですが。。)

そしてナイアシンの体内での合成は、トリプトファン60に対してたったの1しか合成されません。つまり1日に食材から合成されるナイアシンの量は、10mgです。体内での食材からの合成は非常に効率が悪いことがご理解いただけると思います。そこでもう一つ問題があります。もともとナイアシンはビタミンB3といわれ少量で十分であると考えられていた栄養素ですので、厚生労働省が規定している摂取量は、成人女性で12mg程度です。そこでナイアシンは、肉からも合成できしかも食材に含まれているので不足することはないと考えられています。ここの問題は、厚生労働省の摂取基準の作り方に問題があり、基準となる量が低く設定されてしまっているということです。

あとこんな記述も。

甘いものを食べたいと自分が感じるとき
・それは脳は、トリプトファンが本当は必要だと指令を出している
・大脳皮質が発達している人間は、自分の行動を制御することが可能である
・甘いものが食べたいと感じても、アーモンドなどを食べるという行動に変えることができる

(ちなみに、今、私はトリプトファンのサプリメントを摂取している)

食事指導のH先生がFacebookにこんなこと書いてた。

記憶のメカニズム・・・
睡眠中に、その日 脳で活動した細胞同士が樹状突起を伸ばし、連携し合うことで構築されます。
一般的には、脳の同じ働きをするエリアでこの反応は起きますが、
インシュリンの分泌が多いと 記憶中枢から感情中枢をまたいで この記憶が形成されます。
皆さんは、脳にはすべて血流脳関門(BBB)があるとお考えでしょうか?
下垂体はホルモンが作用するので、BBBがありませんが、それ以外にも海馬周辺など
脳の一部にはBBBが存在しない部位があります。
もちろんその部位にもホルモンが作用するわけですが、そのホルモンは主にインシュリンです。
炭水化物の中毒は、この脳の記憶のメカニズムで構築されます。

話がそれましたね。。。
認知症を改善するには、ケトン体で脳のエネルギー供給をしながら、
DHAやアミノ酸などの栄養をしっかりと摂取する必要があります。
(ω3は柔軟な細胞膜を作る構成成分ですが、脳の樹状突起には、このDHAが欠かせません)
逆に過剰なブドウ糖やインシュリンは、正常な新規の記憶の構築を邪魔します。
また脳の細胞に炎症が続くと、脳の細胞数が減り認知症も進行するわけですから、
糖質中心の食生活も良くありません。
実際に、現代の食事で糖尿病も認知症も
増加の一途であることを客観的にとらえてみてください。
タンパク質を適切に摂取しながら、炭水化物の摂取を控え、
夜間はしっかりとMCTオイルとアマニ油を摂取し、DHAもサプリメントで摂取する。
夜間は、少しケトン体の血中濃度を上昇させるようにします。
これで記憶力も改善しますし、認知症の症状も改善します。
食事のレシピは、僕の著書や雑誌の記事、ダイエット総選挙のHPなど、
ご参考にしてください。
常識外れと思われますが、決して難しいレシピではありません。
また、ご希望の方には有料で食事指導もしております。
食事が楽しいこともときどき必要かもしれません。
でもそれ以上に、人生においてもっとも大切なものは、「健康」だと思っています。
食について、より多くの方にいろいろと考えて頂ければ幸いです。

https://www.facebook.com/pg/cancer.doc.hatakeyama

自分でおいしいと感じられるものが、
からだにとって必要なものだとまことしやかに言われている。
健康な時にはそうだろう。

けれども、自分の意識でからだをうごかしているのでもないし
私の表層意識による食べたいものは、からだにとって必要なのかどうか。
感覚の鈍った現代では感知しきれないことの方が多いのではないか。

病の気に対して、ヒトは知識を使うことが必要だ。

生化学、読んだだけでぱっとわかるものではないけれど、おもしろい。
知識でからだがかわるおもしろさ。


6月9日、病室から眺めた満月