つぶやき

2017年5月

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5月1日
体重がコンスタントに減り続けている。そろそろアラート。これ以上減るとやばい。減るとやばいなんて、これまで生きてる中ではじめて思うこと。夕方、練馬総合病院漢方内科受診。シュハリのりかさんにばったり会う。ご飯食べに行こうと言いながら、年明けからいろいろ激動でなかなか声をかける間もなくいたので、ばったりでも話せてよかった。

5月2日
入力作業をすませて、渋谷へ。昨日ばったり会ったりかさんとあらためて会う約束。なんと、ふたりで会うのははじめて。サイゼリヤで4時間。ファミレスがこんなに居心地がいいなんて、ながらく知らずにいた。どこもドリンクバーがあって、こんな価格ですごさせてもらえるなんて。お酒もあるし、食べるもの豊富だし、食事制限している私にとっては気を遣わずに人と会える場所になった。

5月3日
ばあちゃん三回忌の墓参りで所沢へ。じいさんばあさんの墓のすぐそばには尾崎豊の大きな墓があるのだけれど、今日は花束であふれかえっていた。調べたら4月25日が命日だったんだねぇ。夕方は、ケトン食を試してみたことがあるという人がオーナーである桜台のカフェへ。とはいえ、やはり治療でやっている私からするとかなりゆるめのケトン食。(私のは治療なのでキビシイ。一般的にはここまでやんなくていいのよね…) なんだかいろいろ話せる感じがあって、思わずここのところヘビーな相談を受けていることまで話しちゃった。なんでも話せる場がそのヘビーな相談を寄せてくる彼にもあるといいのだけれど。夜はGさんがうちに来てくださる。気を確かに持って、笑ってすごすことという助言。そうか、今おこっていることはやっぱり生半可なことではないようだ。それにしても、こんな近所で手当てをしてくださる方と出会えることの奇跡。この世がいとおしいなぁ…

5月4日
えーと、今日は何をやってたんだったけ。ああ、そうだ、杉並気功のひろば。てらじんも参加、ますみさんとこの次女夫婦、そしてさなえさん。初めて参加してくださる方の反応が好きだなぁ。そして、気功を伝える時の私は結構饒舌になる。しゃべりながら、こんな私しゃべれる人だったんだなぁと思う。ますみさん宅でお昼ご飯いただいて、夕方5時までいろいろしゃべる。「いつまでケトン食続くの?」と聞かれる。私にもわからない。これがずっと続くと思うけれど少し気が遠くなるけれど、だからといってとがんと共存していくならこのままなのかもと思ったり。先のことはなんにもわからないよ。とにかく、今を生きるしかないよなぁ…。

5月5日
夕方、石神井公園まで歩く。緑がもえもえきらきらだ。うつくしい。うつくしいなぁ、この世界は。

5月6日
てらじんと池袋→新宿。最近の私たちはいままで一緒に暮らしてきた数年の中で一番いい状態である。病気がきっかけでいろいろ変わった。病気によって非常時になっているわけで、平常になってもこういう状態が続くことを願う。夜は「Sheep Sleep Sharp」を見る。相模原事件を思い出すような、舞台上の暴力と死。痛い、痛すぎる…。

5月7日
午前中に石神井公園まで歩くという話になったが、いつも準備がズルズルで出るのが遅くなり11時出発。2時前に帰宅。てらじん、あわててごはんを炊いて食べる。スマホ見る時間、減らして欲しい。明日からの入院がなんとなく無意識にひっかかっているせいか、今日はやたらと疲れてる。夕方から気功。ディジュをふいてもらっている間に、はじめてふっと意識が消えた。荷造り、やっぱり今回も大きなスーツケースで。

5月8日
入院。さすがに今回勘違いワクワクはない。からだが行きたくないと無意識の抵抗を示す。正常細胞もやられてしまうががん細胞にストップしてもらうための薬を入れて、状態をよくするためだ、だいじょうぶと唱える。大学の友人Sさんがきてくれる。自分で話してなるほどとあらためて気づいたこと。私の人生RPGゲームの中で、母はラスボスであること。そして、そのラスボスを倒すのではなく抱きしめねばならぬと。ここのところ心拍数が上がっていて(もともとはやい。小動物並)結構エライ。心臓がこれだけ血液を送り込む必要があるんだろうか。えらい働いてくれてるようですまんねぇ、ありがとございますと精油を使って胸のあたりをなでさする。ラベンダー、マジョラム、ローマンカモミール、イランイラン、サンダルウッド、バニラエキス。あまくやさしいかおりに鎮む。

5月9日
1日の血液検査結果がでる。てらじんが画像で送ってくれたのだが、腫瘍マーカーが高くなっていてどきどきする。H先生からは数値だけで判断せず、体感や他の検査と合わせて判断して行きましょうとのこと。一瞬どきどきしても、もうもうただ正常な細胞に戻ってゆくイメージで払拭する。今日から抗がん剤2コース目。今日は開始も遅れたから、終わるのは真夜中どころか朝方だ。一回目とは心持ちがまるで違う。治療が進むごとに気持ちが変化するのもわかる。(治療が進むにつれ、自分の気持ちをほったらかしにしておくと下がってしまう。つねにみてひきあげること。)

5月10日
昨日は向かいにあたらしく入院してきた人、そして今日は隣にも。二人ともまだ若そう。そして明日が手術らしい(先生たちとの会話から漏れ聞こえてくる)。私もこの先には手術が控えている。このままうまくいくのだろうかと不安が首をもたげてきそうになるのを察して、「よくなるしかないし」と風が吹く。今日は、薬剤の副作用で気持ち悪いはずなのに、パンが食べたいと思う。カリッと焼いて、バター塗ってな。妄想だけでうまいよ。においまでついている。

5月11日
そろそろ抗がん剤の副作用で、ムカつきがでてきた。夕食は完全アウト。でも、前回ならばパスしたところを、ちょっとはがんばって食べた。今日は、Gさんから借りた「私は霊力の証を見た」という本を読む。心霊治療の話でとてもおもしろかったし、特に後半は納得するものだった。こういう本があやしくなくなるにはどういうことばを使えばいいのだろう。本当はあたりまえといえばあたりまえであるはずのこと。

5月12日
退院。てらじんが迎えに来てくれるが、迎えに来てくれるとは知らずに豊洲まで行ってしまう。豊洲まで出るだけでヘロヘロであった。帰宅後、寝続ける。

5月13日
とにかく気持ち悪い。こんなのがもう一回あると思うだけでつらい。そんなこと思わないで、これで病がよくなるイメージをと思ってはみても、気持ち悪さに負ける。食べなきゃと思っても食べられない。てらじんがいろいろやってくれるが、てらじんの気持ちをいただかねばと思って食べても吐く。Gさんがきてくれるが、挨拶もろくにできず。

5月14日
寝てばかりいる。食べたいと思うものがあるが、果物だったり、ヨーグルトとか、ジュース。冷たくて甘いもの。前回のときに先生から言われたこと、「それらは、がん細胞が欲しがっているものです」。食べたいと思うものを食べたらいいんですよと病院の先生方はおっしゃる。いや、でも、がん細胞のいうことは聞けない。また体重も落ちてしまったし、がんばって食べねばと今日はレタスとチキン。相変わらず気持ちは悪いが、吐き気は少しだけおさまったみたい。

5月15日
今日から普通に食べようと決める。気持ち悪さは多少残るが、なんとか三食。Amazonプライムのビデオをみるが、あまり食指が動かず。孤独のグルメは見たいけれど、食べ物ばかりが出てきてせつなくなりそうだし。

5月16日
淡々と日々が過ぎてゆく。てらじんから両親には伝えたほうがいいと言われ(そう、まだ伝えていない。いろいろ思うところあって)、どんな風に伝えようか考えるが、こんなことは考えてもしようがなく、本当はもうレターパッドを用意して書き出すだけのことなのだ。なのだけれど。いちごをビタミンのサプリとともに2個だけ食べる。味覚もだいぶ戻ってきた。いちごが美味しく感じられた。ダメダメだったところから回復してくると、もうささいなことでありがとうありがとうからださまと思う。

5月19日
病院へ。歩けることがうれしくて、検査帰り国際展示場付近をうろうろ歩く。海に近く開放的。もう日差しが夏だ。引越しの話が動き出した。やっぱりうれしく、なにやらうきうきする。ららぽーとでソファやダイニング見てさらに浮き足立つ。

5月20日
読書と対話の会。心拍数がはやいのと、自分の過剰な反応に疲弊。苦手な人はわかっていて、どうどうと自分をなだめるのだけれど、ハプロフの犬状態。これが私の反応、人との関わり方ですとしか言いようがない。二度と会いたくないというわけではないし、また機会あれば話したいと思う。一回でその人の全体がわかるなんて、ない。でももやもやと苦い気持ちが残る。どうもそんな日は料理に走る。ケトン食レシピ本を参考に、作りたいものを作る。料理をすることでクールダウン。姐さまがたから花が届く。うれしい。ありがとう。

5月21日
井のいちへ。会いたかった人みんなに会えて、会えたことをよろこびあえた日。握手したり、ハグしたり。そんなに数多く会って話したわけではないのに、私のことを想ってくださっている。うれしくてからだがじわじわする。エネルギーチャージ。この市を通じて知り合った人は、自立していて風通しよくて、ありがたい。その後は、引っ越し先への家具を見に。

5月22日
暑いけれどいいお天気だし、からだがスルスル動くことがうれしい。生命力ある観葉植物セロームを購入した。夕方からかよさんとネット電話で話す。アツと言う間の2時間。かよさんと話すのはとても楽しい。いろいろ話すことがありすぎて、制限なかったらきっとずっと話し続けてる。

5月23日
渋谷にアロマ関連の本を買いに行く。あれもこれも欲しくなって重い荷物になる。夕方からは談春さん@浅草公会堂。立て板に水、はなしがはやすぎてところどころついていけない。雲水さんは安定の笑い。素人の私はこういう落語が好き。終演後は誘ってくれたSさんとデニーズにてよき時間。ひさしぶりの夜遊び。

5月24日
1日がはやいな、とくに何をしているわけでもないのに。

5月25日
病院へ。検査結果を聞き、ホッとする。いろんな多くの人のおかげでもあると思う。涙がじわっとにじむ。

5月26日
友人のことをあたまにうかべながら、かおりをブレンドする。長らく忘れていた好きだったこと。けれども、嗅覚がまだいまひとつなような感じ。夜は気功へ。療で弱ってるんじゃないかと思いきや、治療始める前よりしっかり立てている自分に驚き。片足立ちもぐらつかないし、できないと思ってたことができるようになってる。

5月27日
昼間は石神井公園へ行き、てらじんのディジュリドゥ演奏撮影につきあう。夜、食事療法の先生とのやりとりに疲れて、指導の継続をどうしようか考える。弟夫婦に手紙を書く。母のことをよろしく頼むと。これからようやく父母への手紙に着手。

5月28日
先生とのやりとりが結構なストレスになっているみたいだ。自己責任でというのは当然で、先生の指導を受けていたって、それさえも自己責任だと思っている。いやだと思う今のこの感覚に従おう。夕方からゆきさん、のりこさんがきてくれる。

5月29日
家で入力作業をすこしすませて、神保町へ。本屋は楽しい。池田晶子さん没後10年のイベントで中村桂子さんのお話を伺う。闊達で勢いある81歳に驚く。さぼうるで珈琲。

5月30日
麻央さんが退院して自宅療養に入るという記事を見た。芸能人のこういうニュースを前までは遠い世界のことのように見ていたけれど、今はものすごく身近な人みたいに感じる。身近な人どころか、自分のことのように感じたりもする。闘病何年で亡くなったという話も、一瞬どくんとからだに響く。5月ももう終わる。夕方から荻窪の本屋タイトルへ、若松さんの詩集発刊イベント。私自身、今この時に書かなくていつ書くのという想い。弟のもとに手紙が届いたようだ。メールで返信がくる。

5月31日
上智グリーフケア研究所でともにまなんだ友人と、お調子村と名づけられた場をもってもう一年は経つのかしら。「14歳からの哲学」、もう何度も読んでいるのに、読んでいるようでじつは読めてなかった箇所が浮き上がってくる。おもしろい。今日もいい時間。5月が終わる。母への手紙も書き終える。