シガアル セイカツ

わたしを束ねないで

わたしをたばねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂

わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしをがないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮 ふちのない水

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
, や . いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終りのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩

—・—・—・—・—・—*:・゜

 

昨日の、シガアルセイカツでよんだ一詩。
新川和江さんの「わたしをたばねないで」。

 

22日から滋賀を訪ねた。
琵琶湖のほとりにある松の木につられていたブランコに乗った。

湖にむかって伸ばした足。
揺れる勢いを増すために
強くふりあげる。

こどもの頃に、立った状態で膝をつかって
高く高く漕ぐのが好きだったことを思い出す。
そしてあの爽快感も。

 

ラベルをつけず
とどめず
自分の勢いを感じ、
ひろがり
ながれて
そのままにいけよ

新川さんからのエールとして受けとった。

 

 

空 -くう-

 

空 -くう-
https://1love.link/2018/09/22/post-1483/

 


ABOUT ME
知詠
近畿大学農学部食品栄養学科卒業。研究テーマは「カビ」。卒業後は、食品会社で研究職。乳製品もどきを分析したり開発したりで6年半。1995年の阪神淡路大震災をきっかけに身一つでできることをしようとマッサージをはじめる。2001年アメリカ、エサレン研究所にてトレーニングを受け、ボディワークをはじめる。同じ頃にはじめた気功で「自然が先生」という教えに出会い、ひとのからだとこころのふしぎについて考えつづけている。2017年、子宮体癌4b診断。標準治療をはじめるのと同時に食事を見直し、あたらしい細胞をつくっていくためには食が土台だと体感。あらためて、「生きているとはどういうことだろう」をテーマにかんがえうごく場「空-くう-」を主宰。